2007-02-28

IAMAS 2007 その3

今回は前に書いた二つの分類に当てはまらない作品の中で、自分的にヒットしたものを書きます。

アカデミー生の荒木淳平さんのlandscapeと言う作品は、真っ暗な小さなスタジオの中にたくさんの糸を張りめくらされていて、そこに小さなスピーカーがぽつぽつと何種類かのノイズを出す。これは評価云々と言うより、体験してみるべし。
最初暗くなってみんな慌てて腰を下ろす。で、安定した姿勢を探すためにもぞもぞ動く、誰か軽く咳をする、鼻をちょっと鳴らす、ノイズは流れ続ける。ふと目を閉じたり開いたりしてみる、全く変わらない。右で服ずれの音がする、友達がいるであろう位置から一瞬荒い息が聞こえる、自分の息の音に気づく、ノイズは流れ続ける。
そういう世界です。最後に自分がつばを飲み込むときに、その一連の筋肉の動きがむちゃくちゃうるさかった。ノイズに満たされた。

同じアカデミー生の野路千晶さんのひらがな標本も面白かった。「あ」から「ん」まで、一つ一つのひらがなを全国各地から「採取」してきて、「生態環境」を再現しながら一つ一つを丁寧に標本化していった。その説明の一つ一つに詳しい「採取地」とそれぞれの「生態」とそれにまつわるエピソートを詳しく書いてあった。お土産にいかが?いえいえ、自分で見つけてこればいい話だ。w

あと、
IAMAS Media Laboと名前の展示室があって、細かい実験的な作品が雑然としている作業部屋の中に散りばめられていた。ちょっと気になったのは、ボーイスレコーダー。引き出しを開けたら録音開始、閉めると録音を元にした大まかな音が流れる、再度開けたら録音再生。要するに、一度録音を劣化(単純か)させてインデックス化する。そしてそれを聞いて大まかの内容を想像して、聞きたいなら聞く、嫌そうな内容なら聞かずに廃棄。例えば、開ける前にうれしそうな話し声が聞こえたらすぐに引き出しを開けて聞く。これは怒ってるっぽいって事前に思えば知らなかった振りをする。これは面白い。元データーをいかにして的確にインデックス化するかは重要だけど、人が情報を受け取るときの曖昧さをうまくついたものだと思った。
もう一つ面白いのは、手に収まるくらいの円柱があって、二重構造の筒の中に本体の回路があり、切断面に人の形を表示するディスプレイがある。本体の回路がおもりになって、円柱を転がしても中のディスプレイは水平を保つ。似たような構造のおもちゃを子供の頃に遊んだことがある。そして、円柱を転がすと内側の本体は速度に応じた傾きをする。その傾きに応じてさらにディスプレイの人が歩く、走る。これはよく出来たものだと思ったが、残念ながら試作品で正確には動かない。完成したら机の上に一つはほしいかもしれない。


とりあえず三回にわたって、IAMAS 2007の気ままな感想を書き終えました。僕は基本的に映像と電子音楽についてさほど興味は無かったもので、その分野には確かにすばらしいと言われる作品もありましたが、僕はあんまり理解できなかった。だから手のおえるものだけを取り上げて、書きました。参考かなにかになれれば幸いです。
このブログ自体、自分の整理のために書いていると言うこともあって、ディスカッションは歓迎です。何かありましたコメント欄にどうぞ。

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