2007-02-16

その3 O先輩

さて、次はO先輩の修論です。

O先輩は先ず、もの動きそのものを一つのシステムとして、そのインプットとアウトプットを外界との境界面としてとらえて、その二つの境界面に挟まれた中の営みを一つの空間をした。人がものに対して作用する、この接点が一つ目の境界、ものが外部へと働きかけることが二つ目の境界である。そしてものが働くプロセル(インプットとアウトプットに対して演算部分にあたる)が含まれる空間は不可視であることが人にとってのブラックボックスということになる。そのことから、人がそのものを理解しづらい、操作がわからないと言ったことにつながる。
そのことの改善策の一つに、O先輩はもの自体が能動的になるということを提案した。そこで提示した例としては長方形の立体があり、それが人が持ち上げると、立体の上面にある、四つ並びのボタンの一つがういあがって、突起する。その装置を動作する、動作しないの二通りに分けて、被験者に持ち上げてもらって、そのものに対する印象を求めた。そこで出た答えは、動作しない方は何のものがわからないや、分解してみたいに対して、人の動きに連動して動作する方は親近感が湧くなどといった興味を示すようなコメントが多かった。
ものが積極的に人の動きに反応し、さらに目にわかる形で積極的に外界に働きかけることで、これまでとは違ったアフォーダンスを持ち、ものの持つ空間が縮小されこれまでのブラックボックスの構造を変えることが出来る。というようなことでした。

発表のあとに、Y先生からこう言う質問があがった。ものが能動的になるということは、新たな要素が付加されたのか、それとももの全体が変わってしまうのか。と言うものだったが、O先輩は実験では動作しない方に比べて、動作する方はものの全体に対するイメージのコメントも多く、そのもの自体に対して愛着を持つとか、親近感が湧くとかというものが多かったので、それはものの全体が変わったことになるというふうに応えた。
ものが能動的に動く。このことは僕的にもものすごく興味はあるけれども、イメージが変わるということは二つのプロセスを経ているような気がする。一つはものに動作を付加すること。もう一つは、人がその付加された動作からこれまでにない印象を受け取ることである。能動ということはもの自身に対して「変貌」という要素を加えるというふうに思う。そして人の印象はゲシュタルト的と言うか、それをとても重要な要素として、もの全体を理解する際に使われると思う。
なんか上手く言葉に整理できないけど、「ものの変貌」ということで、とても気になったものが二つ。

http://www.youtube.com/watch?v=fFnNKIYljLw




http://www.youtube.com/watch?v=T5pNwG2nK6Y




上は詳しいことはよくわかっていないけど、下の方はHussein Chalayan の春夏のファッションショーの後半部分。ここには入っていなかったけれども、STYLE.COMの方でポットキャストとして配信していた方にはものすごく歓声が入っていた。とてもわかる気がした。
↓こちら
http://www.youtube.com/watch?v=o7npi_rzE6k

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